シンガポールの街をぶらり、あてもなく歩いていると、細い路地のいたるところで、地元の人々の食への情熱を感じることができます。カラフルなショップハウスが立ち並ぶ風情ある街並み、人いきれで賑わうホーカーセンター、熱気あふれるバー... いたるところが食欲を刺激する香りに包まれ、訪れる者の好奇心をそそります。ここでは、シンガポールを味わいつくす3日間の旅行計画をご紹介します。

1日目:チャイナタウンで食三昧
チャン・ホンミン・シェフ リャオファン 香港油鶏飯・面 ミシュラン

1. ホーカー体験

食の冒険は、やはりシンガポールで最大のホーカーセンター、チャイナタウン・コンプレックス マーケット&フードセンターからスタートしましょう。ここには、一つ屋根の下になんと260軒もの屋台がズラリ。シンガポールの多様な食文化を一か所で味わいつくすことができます。たとえば、ココナツミルク、タロ、サツマイモを使ったデザート、ボボチャチャは、田園風景の広がるマレーの原風景を思い起こさせます。海南チキンライスは初期中国系移民が伝えた味。この土地のスパイスや味付けしたライスへの愛着を彼らは、皆が大好きなワンプレート料理へと昇華させました。

Chinatown Complex Market & Food Centre. 335 Smith Street #02-127, Singapore 050335.
月曜日〜火曜日・木曜日〜日曜日 午前10時~午後8時


ユー・ヤン・サンの店舗と通りの正面

2. お土産ショッピング

ボリュームたっぷりの朝食でお腹を満足させた後は、数多くある伝統的な漢方薬局のひとつ、ユー・ヤン・サン(余仁生)のチャイナタウン・ポイント店で、ハーブ類や漢方薬を選びましょう。身体の痛みから慢性的な咳まで、各症状に効く伝統的な漢方薬を多彩に取り揃えています。中でも、古くからさまざまな病気に効くとして重宝されてきた高麗人蔘(中には数千ドルするものも)は、自然療法や代替治療に興味をもつご友人やご家族へのお土産におすすめです。

Chinatown Point. 133 New Bridge Road #B1-05, Singapore 059413. +65 6702 0180.
毎日 午前10時30分~午後9時


Oxwell and Coのルーフトップバーの様子

3. 屋上からの眺め

チャイナタウン・ポイントから少し歩くと、バーやレストランが立ち並ぶ賑やかなアンシャン・ロードにたどり着きます。夕刻の「アペリティフ」に、Oxwell & Co(オックスウェル&コー)に立ち寄りましょう。シンプルに調理された美味しいイギリス料理がカクテルの味を一層引き立てます。お店のオリジナルカクテル「ジン&クロニック」は、おなじみのジン&トニックにシナモンを加えた風味豊かなカクテルで、シンガポールの温暖な気候にぴったり。屋上のテラス席は素晴らしい眺望を楽しめる絶景スポットです。低層のショップハウスが立ち並ぶ美しい街並みと、背景に広がるセントラルビジネス地区の摩天楼のきらめきが、上質な大人の時間を演出します。

ディナーを楽しんだ後は、道を挟んだ向かい側にあるザ・スクリーニングルーム(The Screening Room)へ。ここでは、月に数回、映画が上映されています。プライベート感あふれる居心地のよい雰囲気の中、気の合う仲間や友人たちとソファに腰をおろし、ゆっくりと映画をお楽しみください。映画の鑑賞前や鑑賞後に、カクテルをお楽しみいただける屋上のバーも見逃せないスポットのひとつです。

Oxwell & Co. 5 Ann Siang Road, Singapore 069688. +65 6438 7036.
月曜日 午後4時~午前0時、火曜日~日曜日 正午~午前0時

The Screening Room. 12 Ann Siang Road, Singapore 069692. +65 6221 1694(ルーフトップバー)、+65 6532 3357(スクリーニングルーム)
月曜日~木曜日 午後5時30分~深夜、金曜日、土曜日 午後5時~深夜

 

2日目:ブギスで食べ歩き
ハジャ・マイムナーのナシ・パダン

1. ビレッジスタイルのレストラン

シンガポール人にならって、山もりのご飯で朝をスタートさせるなら、レストラン、ハジャ・マイムナー(Hjh Maimunah)のナシ・パダンがおすすめです。このレストランのナシ・パダン(ご飯に各種マレー料理をセットにした料理)は、シンガポールでも1、2を争う人気です。

共同設立者であるイズマル、マストゥラ、マリアのディディ兄弟はまだ30代の若さですが、家族経営のレストランで母親が働く背中を何十年も見てきました。本物のマレー料理を知りつくす彼らは、母親が昔から大切にしてきたレシピにこだわり、地元の個人生産者から食材を調達しています。

サンバル・ゴレン(揚げ豆腐ともやし、チリペースト)やアヤム・バカール(スパイスの効いたグリルチキン)などの昔ながらの料理を、ご飯にのせてほおばり、その美味しさに心と体を満たしましょう

ハジャ・マイムナーのナシ・パダン 11 & 15 Jalan Pisang, Singapore 199078. +65 6297 4294.
月曜日〜土曜日 午前7時〜午後8時


パークビュー・スクエアのアトラス・バーの内装

2. ゴッサム・シティで「ジン」三昧

ハジャ・マイムナーのスパイシーなカレーで火照った味覚を、喉ごし爽やかなカクテルでクールダウンしましょう。地元で、「ゴッサム・シティ・ビル」(バットマンに登場する架空の街に似ているため)として知られるパークビュー・スクエアへ向かいます。ロビーへ入ると、アトラス(Atlas)バーが出迎えてくれます。精巧なアールデコ調の内装で華やかに彩られたこのバーは、高天井、飾り板、ビルのようにそびえる像がドラマチックな空間を演出。ここはまさに、あの「華麗なるギャッツビー」の世界。スモールバッチのスピリッツとシェイクしたマティーニまたはネグローニのグラスを傾ければ、気分はもうジェイ・ギャッツビー。3階建ての高さに匹敵するクーラーには、1,000本以上のボトルが並べられ、あらゆるお酒の嗜好に対応します。

Parkview Square. 600 North Bridge Road, Singapore 188778. +65 6396 4466.
月曜日~木曜日 午前10時〜午前1時、金曜日 午前10時〜午前2時、土曜日 午後3時〜午前2時


A group of friends hanging out at Blu Jaz cafe

3. 路上のライブコンサート

カクテルで気分は上々? ほろ酔い気分で気持ちのいい夜は、素晴らしいライブミュージックを楽しめるハジ・レーンへ。夜の帳が降りるころ、このエリアのバーやカフェでは、屋外のテラス席が用意され、細い路地がミュージシャンたちの演奏に包まれます。ザ・シンガプーラ・クラブ(The Singapura Club)またはゴーイング・オム(Going Om)で特等席を見つけましょう。ザ・シンガプーラ・クラブは、地元の料理とお酒を楽しめるレストランバーで、ゴーイング・オムは、夜が更けるにつれて活気づくヒマラヤ風カフェ&バーです。

The Singapura Club. 26 Haji Lane, Singapore 189219. +65 6291 7797.
月曜日~金曜日 午前11時~午後11時59分、土曜日、日曜日 午前8時30分~午後11時59分

Going Om. 63 Haji Lane, Singapore 189256. +65 6396 3592.
火曜日~木曜日、日曜日 正午~午前0時、金曜日、土曜日 正午~午前1時

 

3日目:カルチャークラブ
テタレを淹れるインド系の男性

1. スパイスがあれば、すべて良し

テッカ・センターでは、香辛料とカレーの香りが、朝の食欲を呼び覚まします。このホーカーセンターでは、看板料理である南アジア料理と、地元風にアレンジされた北部、南部インド料理をお楽しみいただけます。おすすめメニューは、スカイ・ラブ・クックド・フードのエビの「バダイ」。レンズ豆粉、グリーンチリ、オニオンを混ぜてカラッと揚げたドーナツで、モチモチした食感とえびの香りが食欲をそそります。もう少し軽めの朝食がお好みの方には、アッパム専門店ディーンズ屋台の「アッパム」がおすすめです。軽く発酵させたパンケーキにココナッツフレークとココナッツシュガーをかけて食べます。どちらの朝食も、あたたかい一杯の「テタレ」(引っ張るように注ぐ甘いミルクティ)との相性が抜群。ここでは多くの屋台で提供されています。

テッカ・センターでは、広大なマーケットをお見逃しなく。色とりどりの新鮮な食材が、五感を刺激します。上層階ではサリー(インドの女性用伝統衣装)からボリウッドのポップアイドルのCDまでありとあらゆるものが売られています。時間があればちょっと覗いてみましょう。

Tekka Centre. 665 Buffalo Road, Singapore 210665.
営業時間は変更されることがあります。

Sky Lab Cooked Food. Tekka Centre, 665 Buffalo Road #01-228, Singapore 210665.
毎日 午前8時~午後8時

Deen’s Food Stall Appam Specialist. Tekka Centre, 665 Buffalo Road #01-273, Singapore 210665.
火曜日〜日曜日 午前7時〜午後7時


キャンドルナットレストランのサンバル・アダン

2. ミシュランの星を獲得したプラナカン料理

シンガポールが誇る伝統的な食文化のひとつに、プラナカン(マレー半島やインドネシアに移住した中国系移民の子孫)料理があります。そして、シンガポール随一のプラナカン料理レストランといえば、キャンドルナット(Candlenut)でしょう。シェフのマルコム・リーは、彼の祖母から教わった伝統的なレシピをミシュランの星を獲得する美食へと昇華させました。ここは世界でたった1軒のミシュランの星を冠するプラナカン料理レストランです。

いろいろな料理を試してみたい方には、「アマカセ」メニューがおすすめです。リー・シェフが、前菜からカレー、スープ、ウォック料理、デザートまで、小さなサイズのテイスティングメニューを仕立て上げます。いずれも伝統的な味にモダンな感性が光る逸品ばかりです。

COMO Dempsey. 17A Dempsey Road, Singapore 249676. 1800 304 2288.
月曜日〜木曜日、日曜日 正午〜午後3時、午後6時~午後10時、金曜日、土曜日 正午〜午後3時、午後6時~午後11時


ジャニス・ウォン 2AM DessertBar デザート

3. スイートな芸術作品

キャンドルナットを後にして、バスですぐ近くのホーランド・ビレッジへ。ショップハウスの最上階にある2am:デザートバーを訪れましょう。ここでは、シェフ、ジャニス・ウォンが情熱を注ぐ、食のアートをお楽しみいただけます。彼女が織りなすスイーツは今や世界的にも高い評価を受けています。

地元の人々でさえ、スイーツとスパイスの境界線を取りのぞいた彼女の新感覚のスイーツ - 例えば、バーズアイチリ、ラクサリーフ、「バクア」(グリルポークのスライス)を混ぜたチョコレートなど - に驚きを隠せません。彼女のファンの中には、デザートバーの閉店時間(午前2時)まで店を立ち去らない客もいるほど。バーではこの時間を「スイーツが欲しくなる時間」だといいます。地元のスイーツがすっかりお気に召したのなら、ウォン・シェフのチョコレートボンボンをセットにした、シンガポール・シグネチャー・ボックスを、大切な方へのお土産に持ち帰りましょう。

2am:dessertbar. 21A Lorong Liput, Singapore 277733. +65 291 9727.
&火曜日~金曜日 午後3時~午前2時、土曜日・日曜日 午後2時~午前2時