イノベーションは、シンガポール経済の重要な原動力です。水供給ニーズを満たすために、シンガポールは、国内の集水地域(地面の3分の2)、輸入水、海水炭水化、水の再生など、複数の調達源に依存しています7。
そこに関わっているのが、デジタル変革を支える多数のICTイニシアチブです。例えば、中小企業のデジタル能力向上を支援するプログラム「SMEs Go Digital」8、ICT関連の熟練労働力の能力開発を目指す「TechSkills Accelerator」9、実在するビジネス課題やデジタル化機会と問題解決者のマッチングを行うバーチャル・クラウドソーシング・プラットフォーム「Open Innovation Platform」10などは、その一部に過ぎません。
シンガポールのイノベーションへのコミットメントを強化するため、研究とイノベーションを企業化に結び付ける「Research, Innovation and Enterprise(RIE)2025」計画では、イノベーションを原動力とする知識基盤型の経済と社会の支援にさらに$250億を政府から調達する見込みです11。これらのイニシアチブを一体にして、より深いテクノロジーやプログラムを取り入れるための地固めを行っています。例えば国家AI戦略「National Artificial Intelligence Strategy」は、ロボット、宇宙、ICTといった分野の関連イベントの開催地としてシンガポールが第一の選択肢に挙がることを目指す戦略です。
Google社、Facebook社、Alibaba社など、テクノロジー企業世界上位100社のうち80社がシンガポールで事業を展開しています。また、ガレナ社、グラブ社、レイザー社12といった地域リーダー企業の多くが、シンガポールのインフラを利用して、その活動範囲をグローバル市場に拡げています。
Google社は、2011年に同社初のデータセンターをシンガポールに設置。2018年までに3か所に拡大しました。アリクラウド社は、東南アジア市場で活動を展開すべくシンガポールに本社を置きました。現在、Visa社はシンガポールを拠点とする取引処理センターを利用して、地域ネットワークとグローバルネットワークの両方にサービスを提供13。LinkedIn社は、初の国際データセンターをシンガポールに設け、アジア太平洋地域のトラフィックすべてに対処しています14。
Siemens社やABB社などの企業もまた、シンガポールに主要イノベーションセンターを構えています。シンガポールでの事業が50周年を迎えるインフィニオン・テクノロジーズ社は、自社のグローバル人工知能(AI)イノベーション拠点をシンガポールに設けることを発表しました15。
これらは、多数の事例のうちのごく一部です。シンガポールへの業務移転において影響力をもつリーダーとして、主催者の皆様は、各セクターのソートリーダーとイベントへの参加や講演で連係することが可能です。これが、世界中の参加者に対する強い牽引力として作用しています。
数多くの協業は、最新のテクノロジー情報や部門全般への影響力を紹介する機会も提供します。
新しいテクノロジーを試験する際、製造や財務それぞれの現地パートナーと協力しているIBM社16やファーウェイ社17などのグローバルプレイヤーに加えて、地元のイノベーターや起業家もまた、官民セクターの仲間と共同でイノベーションに取り組んでいます。注目に値する事例としては、以下があります。
シンガポールの国際的レベルの研究開発インフラに支えられ、その他の取り組みも期待されています。主要なロケーションは、ワンノース、フュージョノポリスなど。メディア分野ではメディアポリスなどです。総じて、こうした各種センターを利用してシンガポールでイベントを主催すれば、対象業界を問わず、人脈とイノベーションコンテンツの両方の足がかりを得ることができます。
シンガポールのスタートアップコミュニティは衰え知らず。過去10年間で倍増し、約55,000社に及んでいます18。ブロック71地区やランチパッド@ワンノース地区などが企業間協業を支援しているほか、事業規模を支えるべく、さまざまなアクセラレーターやベンチャーキャピタルが展開しています。
つまり、主催者の皆様には、サイバーセキュリティやフィンテックといった主要なトピックに耳を傾ける熱心なオーディエンスの他にも、出会いがあるということです。さらに、リスクをいとわない態度で変革を刺激し、開拓を推進し、起業家精神を醸成する業界カンファレンスへの高い需要も体感できるでしょう。
国の規模と高齢化する人口によって、シンガポールはAIの活用に意欲を示すようになりました。医療、製造、サービスといった分野でのギャップを補う狙いです。
今日、シンガポールは、AIの利用において先導的な立場に進み出ており、導入率で東南アジア地域では第3位です19。ロボットが徐々に注目を浴びている中、ローンチパッド・ロボティクス・センターによる支援下、「ナショナル・ロボティクス・プログラム(National Robotics Programme: NRP)」の策定に向けた2016年~2019年の資金調達額は、S$4億5000万を上回りました。20。
製造分野ではパナソニック・シンガポール社とプレシジョン・ベアリング・アンド・オートメーション(Precision Bearings and Automation: PBA)グループが、生産能力向上のためのロボットに注目しつつあります21。ホスピタリティ分野では、ホテル・ジェン22とMソーシャル23でロボットバトラーが使われています。医療部門では、脳卒中患者のリハビリにウェアラブルデバイスを使用しています。スワブボット社が開発したウェアラブルデバイスは、鼻咽頭ぬぐいの手順を自動化するもので、手作業による鼻咽頭ぬぐいに比べて安全性、スピード、安定性が向上しています24。
こうした背景から、主催者の皆様は、AIおよびロボットの最新開発やケーススタディを紹介する機会や、イノベーションを推進するソートリーダーとの関係づくりの機会に対し、メリットを得ることができます。
宇宙産業が急成長を遂げ、専門知識が揃うシンガポールでイベントを主催することで、この新進気鋭のグローバルセクターの一翼を担うチャンスを掴むことができます。
今、シンガポールでは、衛星バリューチェーン全体にわたり宇宙関連企業が活躍しています。シンガポール宇宙技術アソシエーション(Singapore Space and Technology Association: SSTA)やインマルサットといった定評ある組織や、アドベンチャーテクノロジーズ社、STジオインサイツ社、アストロスケール社といった前途有望なスタートアップなど、30を超える企業がシンガポールに拠点を構えています25。
シンガポール・スペース・アンド・テクノロジー・リミテッド(Singapore Space and Technology Limited: SSTL)、シンガポール防衛科学技術庁(Defense Science and Technology Agency: DSTA)の戦略投資部門であるキャップ・ビスタとのパートナーシップによるプロジェクト「Cyclotron」の発足により、さらに多くの期待が高まっています。目指しているのは、宇宙技術関連のスタートアップに対し、商業化を実現させることです。26
シンガポールをイベントの開催地とすることにより、主催者の皆様は、急成長セクターの最前線で活躍する企業に近づくことができます。それが、世界中の類似企業に向けた訴求力になるはずです。
「Singapore FinTech Festival」(SFF)と、「Singapore week of Innovation and TeCHnology」(SWITCH)を一つにした1週間にわたるイベントで、フィンテックとディープテックのエコシステムの強化を目的としています。世界中のイノベーター、投資家、起業家、規制当局が集まって、フィナンシャルインクルージョンと持続可能性がさらに進む世界の創出に向け、ブレーンストーミングを行います。
2012年創設の「TECHINNOVATION」は、オープンイノベーションを通じた技術・事業連携を模索すべく、シンガポール国内外のテクノロジー分野の供給者と需要者が一堂に会するイベントです。
情報通信メディア開発庁(Infocomm Media Development Authority: IMDA)とインフォーマ・テックによる企画で、シンガポール政府観光局(Singapore Tourism Board: STB)の後援を受ける「ATxSG」は、シンガポールの「Smart Nation Innovation Week」とインフォーマ・テック社の技術見本市「ConnecTechAsia」に対し、ビジネス、技術、社会的影響力の動向に対する知見を提供するコンファレンスとマーケットプレイス向けの旗艦テックプラットフォームを融合させたイベントです。
革新的なソリューションを紹介すべく、アジア太平洋地域のテクノロジー界の逸材が集結します。アジア太平洋地域全域のソリューションプロバイダー、投資家との人脈づくりやコラボレーションのチャンスを提供します。
衛星通信やデータによる都市変革のあり方、さらにはセキュリティ、海洋監視、IoTなどの領域におけるその応用例を模索します。
1 https://www.ipos.gov.sg/media-resources/singapore-ip-ranking
2 https://www.ipos.gov.sg/media-resources/singapore-ip-ranking
6 https://www.gpc-gr.com/robotics-singapore/detail.php?seq=1
7https://www.smartnation.gov.sg/about-smart-nation/transforming-singapore/
8https://www.imda.gov.sg/How-We-Can-Help/smes-go-digital
9https://www.imda.gov.sg/programme-listing/TechSkills-Accelerator-TeSA
10 https://www.imda.gov.sg/programme-listing/open-innovation-platform
14 https://www.techinasia.com/linkedin-singapore-data-center
18 https://www.edb.gov.sg/en/our-industries/industries-and-key-activities/innovation.html
19 https://www.cio.com/article/221994/how-singapore-is-using-artificial-intelligence.html
20 https://www.gpc-gr.com/robotics-singapore/detail.php?seq=1
21 https://www.gpc-gr.com/robotics-singapore/detail.php?seq=1
22 https://www.businesstraveller.com/business-travel/2017/11/18/hotel-jen-adds-relay-robots-asia/
26 https://www.sginnovate.com/news/5-space-tech-startups-sea-paving-way-beyond