持続可能性

シンガポールの持続可能な都市計画を通じて環境にやさしいイベントを開催するのが、いかに簡単かご紹介します。

シンガポールのMICE持続可能性ロードマップ

シンガポール政府観光局(Singapore Tourism Board: STB)とシンガポール・アソシエーション・オブ・コンベンション・アンド・エキシビション・オーガナイザー・アンド・サプライヤー(Singapore Association of Convention and Exhibition Organisers and Suppliers: SACEOS)が発表した「MICE持続可能性ロードマップ」は、シンガポールのMICE業界全体のサステナビリティ基準を引き上げるための明確な目標と戦略を定めています。

このロードマップは、「シンガポール・グリーンプラン2030」と国連が掲げる「持続可能な開発目標」を指針としています。MICE持続可能性ロードマップでは、シンガポールをアジア太平洋地域で最も持続可能なMICE開催地の1つとして位置づけるため、次の3つの具体的な目標を掲げています。

  1. 業界がすぐに適用できるサステナビリティ基準を2023年までに作り、2024年までに国際的に認知されることを目指す。
  2. 2025年までに、6つのMICE専用会場1すべてと、SACEOS会員企業2の80%が、国際的または国内で認められたサステナビリティ認証のいずれか、あるいはその両方を取得すること。
  3. シンガポールMICE業界が2023年までに廃棄物と炭素排出量の追跡を開始し、2030年までにシンガポール・グリーンプランに沿った廃棄物の削減、2050年までに国のネットゼロ目標に沿った排出量ネットゼロを達成すること。

 

脚注

1チャンギ・エキシビション・センター、ラッフルズ・シティ・コンベンション・センター、リゾート・ワールド・コンベンション・センター、サンズ・エキスポ&コンベンションセンター、シンガポール・エクスポ、サンテック・シンガポール国際会議展示場を指します。

2イベント主催者、会場、スタンド設置業者、飲食ケータリング業者が対象となります。SACEOSが提供する教育やコラボレーション活動を通じて、すべてのMICE業界関係者が認定を受けることができます。

概要

人と地球のために

クレジット:マリーナベイ・サンズ

持続可能性に関する世界規模の話し合いの機運が高まるなか、世界各地のイベント主催者たちは結集して各自の役割を果たしてきました。シンガポールでこれまで開催された中で最大規模の環境保護イベント「2018 Schneider Electric Global Innovation Summit」では、紙やプラスチックなどの使い捨て資材は一切使用せず、提供された食事も完全に持続可能なもので、地球にやさしいメニューでした。1. さらに旅行見本市「ITBアジア2014」では、廃棄物の減量化と省エネを実施することによって、全体的なカーボンフットプリントの34パーセント削減を達成するに至りました。2

こうした事例からわかるのは、イベントのペーパーレス化、食品ロス削減、または環境にやさしい中心部での開催などを推進することで、人と地球の双方にとってためになる形を実現できるということです。しかし、この領域での成功に向けては、適切な現地パートナーを見つけることが重要です。

 

シンガポールの持続可能性へのコミットメント

シンガポールは常に持続可能性を第一に考え、国の長期計画の中心に据えてきました。2009年には、国内のエコロジカルフットプリントを2030年までに向上させる戦略を継続的にまとめるべく、初の「サステイナブル・シンガポール・ブループリント(Sustainable Singapore Blueprint)」を発表しました。今や環境保護対策は経済インフラに織り込まれ、廃棄物の削減や、再生可能エネルギー資源(太陽光発電など)の用途拡大を強調するようになっています。政府が環境関連の仕事とともにグリーン経済を創出する取り組みを強化することで、企業も持続可能な営業活動の恩恵を得ることができます3

これにより、シンガポールの持続可能性に対する取り組みが、以下のように世界的に認められるようになりました。

主要統計:

持続可能なデザインによる環境フットプリント削減率:

8.9%4
シンガポール企業3社

2021年「世界で最も持続可能な企業100社」にランクイン5

功績:

3年連続、環境保護型港湾

アジア太平洋経済協力(APEC)ポートサービスネットワーク(APSN)により、シンガポール海事港湾庁(MPA)が受賞6

チャンギ空港が「2019年アペックス・コーポレート・サステナビリティ・アワード」を受賞7

チャンギ空港が空港カーボン認証制度レベル3を取得8

シンガポールでは世界規模の話し合いと並行して取り組みを強化しており、長年にわたって高水準のコミットメントを果たし続けています。持続可能性は、シンガポールの科学・技術戦略を概説する5か年計画「研究・イノベーション・エンタープライズ2025年計画(Research Innovation and Enterprise (RIE) 2025 plan)」の予算策定において、重要な領域です。

シンガポール政府は2021年、さらに重点的に取り組む6つの柱(環境に配慮した政府、自然環境に囲まれた都市、持続可能な生活、エネルギーの見直し、グリーン経済、回復力のある未来9)と2030年までに達成すべき環境目標をまとめた「グリーンプラン」を発表しました。

新しいイニシアチブによる目標の例を挙げると、電気自動車充電スタンドの倍増、2026年までに炭素排出量の30パーセント削減のほか、炭素税の見直しにより、最高クラスの炭素集約型投資のみのシンガポール参入を図っています。その他、ジュロン島を持続可能エネルギーの拠点に転換し、持続可能なツーリズム、持続可能な包装、脱炭素化、廃棄物に付加価値をもたらす都市農業や水処理にもさらに重きを置く計画も進行しています。10

環境にやさしいイベントに向けたインフラ

クレジット:オアシア・ホテル・ダウンタウン

その効果は、イベント分野にも徐々に浸透してきており、持続可能性を追求するイベントの主催者に対し、無数のサポートが用意されています。


その一例として、2013年にシンガポール政府観光局が「ISO 20121・持続可能なイベント運営のための国際規格」および「APEX-ASTMイベントの環境持続可能性に関する規格」に基づく持続可能性ガイドラインを発表しました11

このガイドラインは、ホテル、会場からイベント主催者、ミーティングプランナーに至るまで、ビジネスイベントのエコシステム全体を対象とするものです。交通機関、飲食のほか、AV機器の設置プロバイダーも含まれています。初級・中級オプションが用意されており、持続可能性における過程のどの段階にあろうと、企業が取り残されることはありません。

必要なリソースが不足する企業に対しては、「MSC MICE認証(MSC MICE Certification)」もあります。これは、中小企業が持続可能性に関する取り組みについて正当な評価を得ることを目的とするものです12

イベント会場も、それぞれの役割を果たしています。リゾート・ワールド・シンガポールでは施設全体で使い捨てプラスチックを撤廃13しており、MBSはシンガポール初のカーボンニュートラル会場になりました14。MICE施設「MAX Atria」のようにビジネスイベントに特化したスペースでは、その環境に配慮した建築設計に対して「シンガポール建築建設局グリーンマーク・プラチナ」評価を受けています。

イベント主催者が持続可能性を実現するための目標に到達できるように、MBSなどのホテルでは専任のグリーン・ミーティング・コンシェルジュも参加してプランニングをサポートする、特化型の「グリーン・ミーティング・パッケージ」を用意しています15。イベントオーガナイザーのXhebitといった現地の中小企業も参入し、グリーンイベント企画チームの提供を行っています。16

 

企業にとって魅力的なミーティングスポット

シンガポールでは、環境配慮型会場に取り組んでおり、その数を増やすことによって、シンガポール国内開催のイベントに参加する環境意識の高い企業に向けて、カーボンフットプリントを削減する無数の方法を確実な形で提供しています。

電気自動車で島内を移動したり、シンガポール国内で増え続けているグリーンマーク認証を取得したビルディングで会議を行うなどに加え、さまざまな予算に対応する環境にやさしいホテルが多数あり、サステナブルな滞在も提供しています。

たとえば、パン・パシフィック・シンガポールのような大型ホテルチェーンでは、従来の施設を電気使用量を削減するエコフレンドリーな設計にリフォームしています。17。オアシア・ホテル・ダウンタウンなど、シンガポール国内のブランドホテルでは巨大なグリーンカーテンを導入し、生物多様性の再導入と建物の温度上昇抑制の両方を図っています18。また、カールトン・ホテル・シンガポールでは、持続可能性への対策を講じて水とエネルギーの消費削減を行っています。19.

グリーンイベントへの関心を高める

持続可能性への関心は総じて高く、シンガポールはすでに持続可能性をテーマにした各種イベントの開催拠点となっています。以下は、そうしたイベントの例です。

Ecosperity Week

テマセクの企画による「Ecosperity Conference」を主体として毎年開催される複合型イベント。世界中のビジネスリーダー、政策担当者、投資家、東南アジア全域のその他コミュニティが一堂に会して、持続可能性関連の動向について話し合います。2021年の意見交換上の焦点は、脱炭素化と気候に関する活動、自然と資源の再考、持続可能な投資と資金調達についてです。

Sustainability Reporting Summit

CSRWorks Internationalが主催するアジアトップの地域コンファレンス。持続可能性レポートにおける動向、技術、課題、ソリューション、成功事例に関する意見交換に特化したイベントです。

クレジット:テマセク

グリーン経済とそれに伴うグリーン成長の機会が改めて重視されるようになっています。これは、当地シンガポールでより多くのイベントやコンファレンスが開催される可能性があることを示唆しています。特に持続可能な包装、炭素サービスやグリーン金融などが議題の中心になるでしょう。

シンガポールは私たち皆のために、より環境に配慮した未来への道を切り開いています。そのため、同地でのイベント企画により、グリーンイベントの開催や熱意あるオーディエンスの確保にあたって支援を受けられることに加えて、エキスパートとの人脈づくりや連携のための手段も効果的に活用できます。

 

脚注

1https://www.marinabaysands.com/expo-events-and-convention-centre/game-changer/sustainable-food.html

2https://www.travelweekly-asia.com/Travel-News/Hotel-News/ITB-Asia-exceeds-its-sustainability-targets

3https://www.nccs.gov.sg/files/docs/default-source/default-document-library/ssb-2015-(2016-version).pdf

4https://www.arcadis.com/en/news/asia/2020/6/arcadis-singapore-is-now-carbon-neutral

5https://sbr.com.sg/economy/news/three-singapore-firms-named-worlds-most-sustainable-companies-list

6https://www.porttechnology.org/news/port-of-singapore-recognised-for-drive-to-cut-emissions/

7https://apexawards.unglobalcompact.sg/archive/

8https://www.changiairport.com/content/dam/cacorp/sustainability/sustainable-changi/sustainability-report/CAG-Sustainability%20Report%20FY1920.pdf

9https://www.greenplan.gov.sg/

10https://www.channelnewsasia.com/news/singapore/singapore-green-plan-2030-targets-10-years-14161356

11https://www.visitsingapore.com/content/dam/MICE/Global/downloads/STB_sustainability_guidelines_manual_november_2013.pdf

12https://saceos.org.sg/sustainability/

13https://www.straitstimes.com/singapore/environment/resorts-world-sentosa-no-longer-provides-single-use-plastic-straws-at

14https://www.marinabaysands.com/content/dam/singapore/marinabaysands/master/main/home/company-information/media-centre/Sep2020/sands-expo-and-convention-centre-is-now-a-carbon-neutral-venue-8-sep.pdf

15https://ko.marinabaysands.com/content/dam/singapore/marinabaysands/master/main/home/meetings/amenities-services/green-meetings/Marina-Bay-Sands-Green-Meetings.pdf

16https://www.xhebit.com/

17https://www.meetings-conventions-asia.com/News/Hotels-and-Resorts/Pan-Pacific-puts-its-green-thumb-on-new-eco-friendly-brand

18http://greenhvacrmag.com/2018/oasia-hotel/

19https://www.carltoncity.sg/sites/carltoncity/files/2019-09/Press%20Release%20-%20Pushing%20the%20Green%20Envelope%20at%20CCHS%202019.pdf

環境にやさしい会場

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グリーンスペシャリスト

MCI Global

MCIは、世界各地でイベントや会議を主催しており、MICE業界の持続可能なイベントや標準の促進に関して豊富な実績があります。

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Greenview Hospitality

Greenviewは、ホスピタリティ産業における持続可能性のレポートや測定を中心に扱っている持続可能性を専門に扱うコンサルタントです。

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Sustain Ability Showcase Consultancy Asia

シンガポールに拠点を置く持続可能性を専門に扱うコンサルタントの代表格であり、イベントや企業の持続可能性の測定やサービスを導入、運営、促進しています。

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サステナブルなイベントの開催

気候変動が世界的な議論の中心となる中で、シンガポールは、環境意識の高い観光イベントやビジネスイベントの開催地という立場を担っています。シンガポールでは、持続可能性を中心に据えたイベントを企画担当者の皆様が企画しやすい環境が整っています。

環境にやさしいシンガポール旅行

交通輸送は世界の炭素排出量の21%を占めており、これは多くの先進国において最大の排出分野となっています1。したがって、サステナブルなイベントのプランニングは、参加者が見本市会場や会議場に到着する前の時点から始まっている必要があります。

全世界の130以上の都市に就航している2国営航空会社シンガポール航空(SIA)および子会社の格安航空会社Scootでも、環境に関する取り組みを行っています。2022年第3四半期までに、チャンギ空港を出発するSIAとScootの全便が精製ジェット燃料と持続可能な航空燃料を混合して使用するようになる予定で、これにより、年間約2,500トンの二酸化炭素排出量削減を図ります3。さらに、SIAは、インド、インドネシア、ネパールでの環境プロジェクトを支援することにより、フライト利用者に対してカーボンオフセットプログラムを提供しています4

シンガポールのチャンギ空港では、資源の効率化と保護という原則が空港全体に行き渡っています5。日中は自律的に調節可能なスカイライトと反射パネルによって建物を自然光で満たすと同時に、出発ホールに効果的に配置されたジェットディフューザーが利用者動線エリア付近に冷気を供給しています。こうした持続可能な設計要素が評価されて、チャンギ空港のすべてのターミナルがシンガポール建築建設庁(Building and Construction Authority(BCA))の「グリーン・マーク・ゴールド」6以上の認証を取得しています。

空港を出たイベント参加者は、高い信頼性と優れた接続性を誇るシンガポールの公共交通機関を利用して、会場などの集合場所まで簡単にアクセスすることができます。イベントのブランディングイメージによってカスタマイズしたNETS FlashPay Cardsを提供することで、イベント参加者の公共交通機関での移動をさらにシームレスにすることも可能です。このデジタル決済用カードは、シンガポールMICEアドバンテージ・プログラム(Singapore MICE Advantage Programme: SMAP)を通して一括購入が可能で、利用可能期間は7年間です。

配車サービス「Grab」も、環境にやさしいシンガポール国内の移動手段のひとつです。配車予約時に利用者が太陽光発電プロジェクトに貢献することができるようにしています7。個人的な移動手段が必要な方には、GetGo、BlueSG、Car Clubなどの提供業者によるカーシェアリングサービスもシンガポール全域で広く利用可能です8

今後も、シンガポールでは交通輸送における排出量削減を継続してまいります。2030年までに市内の公共バスおよび公共タクシーの半分を電気化し、2040年までに市内のすべての公共バスをディーゼルエンジンからよりクリーンなエネルギーでの運行に転換する予定です9

 

エネルギー消費と効率を考える

「シンガポール・グリーン・ビルディング・マスタープラン」の2021年版によると、シンガポールの建物の80%が2030年までにグリーン認証を取得する予定です10。とはいえ、現在でもすでに、シンガポールでは環境に配慮したイベント会場を選ぶ際の選択肢は豊富です。そうした会場の多くが、エネルギー効率の向上に力を入れています。

そのひとつがマリーナベイ・サンズ(MBS)です。ここでは、2012年から2020年の間に約50%カーボンフットプリント削減を成し遂げました11。MBSは以前から、環境保護やサステナブルなイベントのプランニングに対する取り組みにおいて、世界で高い評価を受けています。持続可能性に関するグローバル戦略「SANDS360°」を指針とするMBSは、2014年に東南アジアのMICE施設として初めてISO20121(サステナブル・イベント・マネジメント・システム)認証を取得しました12。さらに、アジア太平洋地域で初めてのLEED®(Leadership in Energy and Environmental Design)プラチナ・グリーン・ビルディング認証も取得。2020年には、シンガポール初のカーボンニュートラルなMICE会場となり、グリーン電力証書(Renewable Energy Certificates)への投資を通じてシンガポールのグリーンエネルギー目標を支援しています13

 

サステナブルなケータリングの導入と食品廃棄の最小化

写真クレジット:フェアモント・シンガポールとスイソテル・ザ・スタンフォード

多くのビジネス会議は、食事をとりながら行われています。シンガポールは美食好きの楽園であり、ビジネスや人脈づくりの場での食事の選択肢は無限です。しかしながら、食品廃棄物は従来からMICEセクターにとって重要な問題となっています。この問題を解決するために、シンガポールでは、ホテルや宅地開発向けのケータリング事業者など商業・工業セクターの大規模な食品廃棄物発生源に対して、2024年以降、発生した食品廃棄物を分別し、食品廃棄物処理スペースを施設内に配置するよう義務付ける法律改正を行っているところです14。同時に、国内MICE会場でも、サステナブルなケータリングメニューのオプションを増やしています。

サステナブルな食品の調理と廃棄の管理に向けて顕著な取り組みを実践し、MICE会場の先進例となっているのが、フェアモント・シンガポールとスイソテル・ザ・スタンフォードです。これらのホテルは、1日100kgの野菜くずや皮を処理できる「Eco-Wiz Dry System Model DV1000」という機械を使って食品廃棄物をリサイクルし、その後できた堆肥を共同ハーブガーデンで肥料として利用しています15。さらに、業界初の都市内アクアポニックス農場を2019年に立ち上げました16。水産養殖と農作物栽培を一つのシステムに統合した敷地面積450平方メートルのこの農場では、野菜や新鮮な魚をこの2つのホテルに供給しています。イベント企画担当者は、ここで採れる食品を特色とするケータリングメニューのリクエストも可能です。

 

紙・プラスチックごみの削減

イベントで発生する廃棄物の1/3以上を占めるのが、紙とプラスチック17。シンガポールでは、多くのイベント企画担当者が、この種の廃棄物を大きく削減するために以下のような取り組みを実践しています。

  • QRコードまたはオンラインイベントチケット発行アプリ(Eventbrite、Peatix、SISTICなど)による参加者登録受付。
  • 再利用可能なボトル、容器、カトラリー、文房具などの「Bring-Your-Own(各自持参)」イニシアチブを実行。
  • 産業廃棄物をイベントスペース用備品にアップサイクルする「Triple Eyelids」18や、イベントロジスティクス用木製パレットの再生を行っている「XCEL Industrial」など、持続可能なベンダーを採用19

シンガポールのMICE会場でも、紙とプラスチックのごみの削減にも力を入れて取り組んでいます。たとえば、リゾート・ワールド・セントーサ(RWS)は、MICEイベントはもちろん、すべてのテーマアトラクション、ホテル、レストランで使い捨てのプラスチックストロー、ウォーターボトル、テーブルウェアの使用を中止し、毎年100トンを超えるプラスチックを節減しています20。2021年にはさらに、サステナブルなイベントのために「Eco-MICE」パッケージを導入。このパッケージには、サステナブルな包装で食事を提供すること、再利用可能な筆記具や再生紙をイベントで提供することなどが含まれています。統合型リゾートRWSの持続可能性への取り組みに対しては、グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(Global Sustainable Tourism Council)から、「ホテルのためのディスティネーション基準および産業基準(Destination Criteria and Industry Criteria for Hotels)」認証が授与されました。

 

環境にやさしいホテルでの宿泊

シンガポールの多くのホテルがサステナブルな取り組みを導入しています。その取り組みとは、敷地内の植樹を増やすことにとどまりません。イベント参加者は、最新の環境技術を備えた緑豊かなスペースでくつろぐことができます。

たとえば、パン・パシフィック・ホテル・グループが運営するパークロイヤル・コレクションの2つのホテルは、ホテルの設計の中に自然をシームレスに融合させた好例となっています。パークロイヤル・コレクション・マリーナ・ベイはシンガポール初の「ホテル内庭園」で、東南アジア最大級の屋内アトリウムを備えています。この屋内アトリウムは、天然の空気清浄機としても機能しています21。また、ソーラーパネルと二重ガラスの天井で、160,000kwhの年間エネルギー消費削減に成功しています。姉妹ホテルのパークロイヤル・コレクション・ピッカリングは、15,000平方メートルの広さの空中庭園、リフレクティング・プール、滝、プランターテラス、階段状の緑樹が自慢です22。全体として、植栽エリアの面積はホテルの総敷地面積の200%以上に達します。これは、開発の進んだ都心部では前例のないスケールです。

 

自然環境に囲まれた都市を観光

交流セッションや会議が終わったら、企画担当者からイベント参加者にぜひおすすめいただきたいのが、シンガポールの多様な動植物との出会いの体験です。シンガポールが「ガーデンシティ」と呼ばれるようになった理由を体感していただきましょう。

チャンギ・ポイント・フェリーターミナルからフェリーで15分のプラウ・ウビン(ウビン島)では、この島の豊かな生態系について学ぶことができる「アメージング・レース」やカヤックチャレンジがおすすめです。「チェック・ジャワ・ガイドツアー」や「プラウ・ウビン・カンポン・ツアー」など、NParks(国立公園庁)によるツアーも利用可能です。また、民間業者のLet’s Go TourやBike Around Tourなどが企画するツアーもあります。

シンガポール本島では、北西の端にあるスンガイ・ブロー湿地保護区を見学しましょう。毎週末開催されている無料ガイドウォークでは、カワウソやイリエワニなどの野生生物に出会えるかもしれません23。鳥好きの方におすすめのスポットは、スンガイ・ブローです。シンガポールは、アラスカからオーストラリア、ニュージーランドへと続く世界最大の渡り鳥の渡りルート「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ」の一部となっています24

街の喧騒から離れてちょっと一息つきたい方におすすめなのが、セントラルビジネス地区からすぐのところにあるシンガポール植物園です。74ヘクタールの敷地に広がる、ユネスコ世界遺産登録地の中でも最初の、そして唯一の熱帯植物園です。東南アジアの先住民族が使用していた植物について学べる民族植物学ガーデンなど、訪れる人は誰もが満足できる場所です25

シンガポールでは、2035年までに緑地を1,000ヘクタール増加する計画(2026年までに行う130ヘクタールの公園新設を含む26)を立てているため、今後数年のうちシンガポールを訪れる皆様は、自然に触れる機会がさらに増えるはずです。

 

善の遺産づくり

現代においては、企業には変化をもたらす主体として行動することが求められています。シンガポールでは、イベント企画担当者の皆様に対して、「良いことと楽しいことの融合」という社会的目標を示す行程を構築するためのオプションやパートナー候補を数多くご用意しています。

例を挙げると、社会的企業「Project Dignity」では、特別な支援を必要とする人々のために、スポンサー付きの教育研修や、飲食セクター、ホスピタリティセクター、小売りセクターでのワークプレースメント(就業体験)を提供しています。「Hawker For A Day」や「Cook, Bake & Makan」などのプログラムでは、ボランティアが共同で高齢者のための食事をつくったり、手話のスキルを身につけたりすることができます。

セントーサでは、グループとしてセントーサ島の海岸線を清掃できる「Marine ConservAction」プログラムがあります27。これは、セントーサ島周辺の海洋生物やシンガポールのごみ処理方法について学ぶことができるプログラムで、企業のイベント参加者だけでなく、幼い子供のいるご家族にもぴったりです。

ちょっと変わった、これまでにない新鮮な体験を求めている方には、「Ground-Up Initiative」もあります。これは、素朴な「カンポン(村)」の環境の中で、CSR活動やチーム学習コースを行うプログラムです。企業が参加できる「Food with Love」プログラムは、参加者が新しい農作物を植えて実りを収穫し、選んだコミュニティキッチンに届けるという活動です28

 

脚注

1https://www.weforum.org/agenda/2021/11/global-transport-carbon-emissions-decarbonise/

2https://www.singaporeair.com/en_UK/us/plan-travel/destinations/where-we-fly/

3https://www.straitstimes.com/singapore/all-sia-scoot-flights-from-changi-to-use-sustainable-aviation-fuel-from-q3-2022-in-1-year-trial

4https://www.singaporeair.com/nl_NL/nl/media-centre/press-release/article/?q=en_UK/2021/April-June/jr0521-210625

5https://www.changiairport.com/corporate/sustainability/sustainable-changi.html#s6

6https://www1.bca.gov.sg/buildsg/bca-awards/past-bca-awards/bca-green-mark-awards

7https://www.grab.com/sg/press/others/grab-singapore-announces-transport-sustainability-goal-as-part-of-its-grabforgood-initiative-aims-for-a-full-fleet-running-on-cleaner-energy-by-2030/

8https://getgo.sg/, https://www.bluesg.com.sg/, https://www.carclub.com.sg/

9https://www.lta.gov.sg/content/ltagov/en/newsroom/2022/3/news-releases/reducing-peak-land-transport-emissions-by-80-.html

10https://www.mnd.gov.sg/our-work/greening-our-home/singapore-green-building-masterplan

11https://www.marinabaysands.com/content/dam/singapore/marinabaysands/master/main/home/company-information/environmental-sustainability/mbs-2020-responsible-business-highlights.pdf

12https://www.marinabaysands.com/content/dam/singapore/marinabaysands/master/main/home/company-information/media-centre/february/Marina%20Bay%20Sands%20is%20Singapore's%20first%20ISO%2020121%20certified%20venue_26%20Feb%202014.pdf

13https://www.marinabaysands.com/content/dam/singapore/marinabaysands/master/main/home/company-information/media-centre/Sep2020/sands-expo-and-convention-centre-is-now-a-carbon-neutral-venue-8-sep.pdf

14https://www.towardszerowaste.gov.sg/foodwaste/#govt

15https://www.lifestyleasia.com/sg/food-drink/dining/going-green-how-hotels-and-restaurants-manage-food-waste-in-singapore/

16https://www.fairmont-singapore.com/blog/fairmont-singapore-debuts-urban-aquaponics-farm/

17https://plastic-action.asia/wp-content/uploads/2020/08/WWF-Guide-to-Zero-Waste-Events.pdf

18https://www.tripleeyelid.com/pages/about, https://www.creuse.sg/

19http://www.xcelindustrial.com/

20https://www.rwsentosa.com/en/sustainability, https://www.ttgmice.com/2021/10/27/resorts-world-sentosa-rolls-out-eco-mice-packages/

21https://www.augustman.com/sg/travel/hotels-resorts/parkroyal-collection-marina-bay-is-singapores-first-garden-in-a-hotel/, https://singaporeland.com/championing-sustainability-down-to-the-smallest-detail/

22https://www.visitsingapore.com/content/dam/MICE/Global/plan-your-event/venues/parkroyal-pickering/PARKROYAL-COLLECTION-Pickering_Sustainable-Green-Features.pdf

23https://www.nparks.gov.sg/gardens-parks-and-nature/parks-and-nature-reserves/sungei-buloh-wetland-reserve

24https://www.nss.org.sg/articles/2f436f5e-a10-15-NW20Q3FlywaysD.pdf

25https://www.nparks.gov.sg/SBG

26https://www.greenplan.gov.sg/targets

27https://www.sentosa.com.sg/en/plan-your-event/community-programmes/

28https://groundupinitiative.org/corporate/

持続可能性の分野におけるMICEイベントの方向性を示す対話やトレンドをご活用ください。独自のリサーチや業界レポートをもとに、サステナブルなビジネスイベントに対する知見や戦略、トップクラスのMICE開催地としてシンガポールがご提供できることについてご紹介します。

「The Time Is Now – Sustainability in Business Events Industry(今こそビジネスイベント業界における持続可能性実現の時)」

PCMA財団と共同で発行したこの調査報告書は、ビジネスイベント業界が大幅に前進するために団結して取り組むべき次の段階の行動を紹介しています。

PCMAおよびその支持者、シンガポール政府観光局、その他の業界ステークホルダーとの協議を通じて作成された当報告書の目的は以下のとおりです。

  • イベント主催者の影響がおよぶ領域と、最大限の関与の機会を概説する
  • 意識啓発、イベントプランナーの能力開発、行動促進のために必要な取り組み、関わり方、リソースを特定する
  • 主催者が今すぐ使える実用的なリソースを提供する

本調査と、イベント主催者がイベントにおける持続可能性を実現するためのプランニングの開始と拡大の過程をサポートするために開発されたツールについての詳細をご覧ください。

以下のリソースをダウンロードできます。

環境にやさしい行動をスタート!- サステナブルな会議・イベントのためのスマート戦略

アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベル(American Express Global Business Travel: Amex GBT)がシンガポール政府観光局(STB)とのパートナーシップにより刊行したホワイトペーパー。

世界的に対面型の会議・イベントが再開される中で、環境、社会、企業統治(ESG)に関する目標を重視する企業がますます増加しています。企業の中では、自社のビジネス活動が広く世界に与える影響の度合いに対する意識がさらに高まっています。その中でも特に持続可能性が重視されています。このホワイトペーパーでは、旅行・会議のプロフェッショナルがサステナブルなイベントを開催するうえで役立つ重要戦略やアプローチを提示するとともに、イベント開催地としてのシンガポールのサステナブルな提案に関するケーススタディも紹介しています。また、環境に配慮した会議・イベントに向けた力強い提案を作成するために、シンガポールが国家として構築してきた政策や実践に関する検討も行っています。

 

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成功事例

Asia Tech x Singapore 2022

アジアを代表するテックイベント、Asia Tech x Singapore (ATxSG)が再開し、2022年5月31日から6月3日まで開催されました。世界中のテクノロジー関連企業や団体のリーダーや意思決定者が一堂に会し、社会のあらゆる分野におけるデジタル革新やデジタル移行を促進する最新技術について交流、討論、意見交換を行いました。

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Singapore Airshow 2022

アジア最大の航空宇宙産業および防衛産業の見本市、第8回シンガポール・エアショー(Singapore Airshow)が2022年2月15~18日に開催されました。4日間の開催期間中、39以上の国/地域からの13,000人近い来場者と約600社の参加企業が改めてつながりを持ち、ビジネス機会を模索しました。このイベントを主催したエクスペリア・イベンツ社のマネージングディレクター、レック・チェット・ラム(Leck Chet Lam)さんは「出展企業と来場者が一堂に会して対話し、さらに協力関係を築くことができて大変うれしく思います」と語りました。

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Gamescom Asia 2021

2021年、ヨーロッパ屈指のビデオゲームの見本市であるゲームズコム(gamescom)のアジア版が、満を持してデビューを果たしました。シンガポールに拠点を置くgamescom asiaは、グローバルなパートナーシップを模索する東南アジアのゲーム開発者と、アジアのゲーム業界とのパイプを築きたい世界的なパブリッシャーの双方にとってのプラットフォームです。

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2022年第60回若手法曹国際協会(AIJA)年次総会

2022年8月22日から27日にかけて、若手法曹国際協会(Association Internationale des Jeunes Avocats: AIJA)の第60回年次総会がシンガポールで開催されました。同協会にとって、シンガポールおよび東南アジアでの初の総会開催となりました。世界中の若手弁護士を対象とした世界最大のイベントであり、AIJAにとっては新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生以来2度目の対面型で行われた会合でした。

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デロイト・マネジメント・リトリート 2021(Deloitte Management Retreat 2021)

仕事にしっかりと打ち込んだ後は、夕日を愛でながら仕事の後の1杯を楽しむ。マネジメントチームをコンファレンス・ホールから連れ出し、ラザラス・アイランドの陽光降り注ぐ海辺で年次マネジメントミーティングを開いた時にデロイトが欲していたのは、まさにそんな体験でした。

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