Asia Tech x Singapore 2022 (ATxSG 2022)

Published: 2022年8月10日

読了時間:1分

国境再開後のシンガポール最大のテックイベントでは、デジタル経済や包摂性のあるデジタル社会の発展について、重要な議論が活発に交わされました。

アジアを代表するテックイベント、Asia Tech x Singapore (ATxSG)が再開し、2022年5月31日から6月3日まで開催されました。世界中のテクノロジー関連企業や団体のリーダーや意思決定者が一堂に会し、社会のあらゆる分野におけるデジタル革新やデジタル移行を促進する最新技術について交流、討論、意見交換を行いました。

シンガポールが国境再開後に主催する最大のテックイベント、ATxSG 2022は、シンガポールの力強い回復とビジネスとMICEの世界とアジアを結ぶ拠点としての地位を証明するものです。16,600名の参加者の中には、ブラジル、エストニア、インドネシア、米国から政府関係者や、Amazon Web Services、Google、Meta、Microsoft、Zoomといった有名テック企業の経営幹部らが含まれていました。

「デジタルとテクノロジーは多くの機会をもたらしますが、同時に課題ももたらします。このような衝突が見られるのは、テクノロジーとガバナンス、テクノロジーとビジネス、テクノロジーと社会が交わるところです。信頼できるデジタル環境の構築、経済成長の創出、革新の芽を育て、社会の差し迫った問題への取り組みが必要です。そのためには、各分野の先見性を持つ思想的リーダーが団結し、共通のデジタルの未来を描くことが重要なのです。」とシンガポール情報通信メディア開発庁(IMDA)のリュウ・チュエンホン長官は述べています。

ATxSG 2022は、初の会場開催となり、IMDAとInforma Techが主催し、シンガポール政府観光局が支援しました。IMDAが主催したのは目玉イベントのATxSummitです。これは招待制の特別イベントで、世界的なテック、ビジネス、政府のリーダーによるハイレベルな議論や、人工知能をテーマとしたATxAI会議などが行われました。いずれも会場はザ・リッツカールトン・ミレニア・シンガポールでした。一方、産業とスタートアップを対象としたATxSGのセグメント、ATxEnterprise、ATxImpactが、Informa Techの主催でシンガポール・エクスポにて開催されました。

あらゆる場所にテクノロジーを

ATxSG 2022では、ガバナンス、ビジネス、社会へのデジタル技術の影響について多くの議論が交わされ、あらゆる場所にテクノロジーが存在し、人々の働き方、遊び方、生き方に影響を与えていることが改めて浮き彫りになりました。これが、Informa Techのグローバルフェスティバル担当副社長のトム・カットヘルが、今回のイベントの大きな強みの一つが幅広さと深さの融合だったことを挙げた理由です。「エコシステムの参加者全員を一堂に集めるというだけでなく、同時にAI、IoT、Web 3.0、メタバースなど各分野の人たちが重要視する問題に鋭く切り込むことができました。」

4日間のイベントを通じての、幅広いラインナップの委員会、討論会、パネルディスカッション、基調講演、非公式の会話などで取り上げられたテーマを見れば、その幅広さと深さの融合が際立ちます。ATxSummitには、30か国から2,000名を超えるゲストと80名のスピーカーが参加し、Tech x Trust、Tech x Good、Tech x Builders、Tech x Creativeという4本の柱を巡って デジタル領域の境界を超えて、活発な議論が行われました。

BroadcastAsia、CommunicAsia、SatelliteAsia、TechXLR8Asiaで構成されるATxEnterpriseでは、健康、通信からエネルギー、労働管理まで、さまざまな産業における技術応用についての議論や展示が行われました。世界的なIaaS(サービスとしてのインフラ)企業であるOneQodeとフィリピン最大の総合通信ネットワークの国際部門であるPLDT Globalがマニラでのクラウド拡大を迅速に進める基本合意契約書を締結するなど、出展者からは、グローバルなデジタルファーストの創造的破壊者にとってシンガポールとアジアが魅力的であることを再確認する発表もありました。

世界をよりよくするためのテクノロジー

世界経済の成長を促すデジタルの可能性を議論するというだけではなく、本イベントのもう一つの重要な理念はインクルーシブなデジタルの未来の構築でした。ATxInspire: Women in Techでは、テック産業における女性の優れた人材をどのように惹き付け、維持し、育成するかに注目しました。IBM、Razer、Ping An Groupや日本、モンゴル、シンガポールの各省庁から著名な講演者が、テック産業における女性専門職の進展状況や女性のためのより共同的なテックエコシステムの創造に向けた取り組みについて講演を行いました。

ATxSGでは、サステナビリティも重要な議題となりました。グリーンファイナンスやESGについていくつかのセッションが行われ、企業がサステナブルなソリューションやイノベーションを紹介しました。その中で、シンガポールのスタートアップ企業FloatingOnは、再生可能エネルギーで稼働し、土地が不足している国々で宿泊施設として使用できるモジュール式の浮体ユニットを発表しました。創業者兼CEOのオードリー・レオン氏は「イベントへの参加はとても有意義でした」とコメントしました。「環境に優しい技術ソリューションに興味があるベンチャー投資家、起業家サポーター、ベンチャー支援者、そして政府の意思決定者など、たくさんのビジネスパートナーや投資家に発展しそうな方々に出会えました。」

イベント自体でも、水のペットボトルを紙パックに変更したり、イベントプログラムの配布にQRコードを使ったり報告書やイベントマップの印刷を最小限にするなど、サステナブルな取り組みを実施しました。

新しいアイデアのプラットフォームに

ATxSG 2022では最先端のアイデアがあふれ、ATxSGの公式スタートアップイベントATxImpactでは多くのアイデアが注目を集めました。この種の展示会としては地域最大規模のATxImpactでは、100以上の将来有望な地域のスタートアップ企業が、有名投資家やエンタープライズ市場と出会う特別な機会を提供しました。注目企業の中には、世界初のWeb 3.0上の代替国家や、AIツールを使って英語学習者の能力向上を支援するプラットフォームなどがありました。

また、シンガポール政府は、ATxSGを活かし、異業種間での技術革新を促進する取り組みを発表しました。ATxAIで、IMDAは、信頼できるテクノロジーの実現に向け、研究開発と人材開発を主導する5,000万シンガポールドルのデジタルトラストセンターの開発を発表しました。また、シンガポール金融管理局は、金融資産のトークン化を検討し、将来の金融インフラを開発する、DBS、JP Morgan、Marketnodeとの共同プロジェクト「プロジェクト・ガーディアン」を発表しました。

このような交流や取り組みは、活気あるビジネス環境、世界水準のインフラ、将来を担う人材が揃い、地域の技術革新の中心地であるシンガポールでしかなし得なかったことです。

在シンガポールフランス商工会議所のビジネス開発マネージャー、バスティアン・ハイバー氏は「この場で対面イベントの再開を迎えたいと思っていました」と述べています。同会議所は、20年に渡り、BroadcastAsiaのフランス館で企業出展を支援してきた歴史があるため、ハイバー氏はシンガポールでの再開に興奮を覚えたと話しました。「出展者からは、このような声をよく聞きました。シンガポールはアジアの中心地であり、成長への入口だと。」

イベントに関わる主要データ

ユニーク来場者数

16,600

参加国・地域数

93

の国と地域

イベント来訪者総数

26,000

展示数

600

展示

200

シンガポール・エクスポでのカンファレンスセッション

ビデオ・ハイライト