ジオコネクトアジア2021がシンガポールで開催

Published: 2021年4月8日

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概要

観光産業はシンガポール経済の主たる柱です。特に、MICE(会議、インセンティブ、コンベンション、展示会)セクターによる貢献は大きいです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はシンガポールのMICE産業にも影響を及ぼしましたが、その一方で、テクノロジーのイノベーションと利用の加速化も進展しました。シンガポールは、参加者の往来に対して厳格な対策と革新的なソリューションを敷き、MICEの未来への認識を新たにしつつあります。
 

近頃、モンゴメリー・イベンツ・アジアの主催により、東南アジアに焦点を当てた「Geo Connect Asia 2021(GCA 2021)」が開催されました。

業界の専門家、政府機関、スタートアップが一堂に会し、アジアの地理空間と位置情報のためのグローバルソリューションに関する知識を養い、発展させるために戦略と連携を図ったハイブリッドなビジネスミーティングの場です。

 


 

現地・バーチャルで参加した業界専門家は2,200名超。直接参加者はそのうち600名でした。ベルギー、ドイツ、香港、オーストラリア、インドネシア、マレーシアなどの国々からの外国人参加者は約100名に及びます。
 

参加者の安全と健康を確保するために、モンゴメリー・アジアがシンガポール政府観光局(Singapore Tourism Board: STB)と密に協力しました。群衆密度の管理や、海外からの参加者の接触追跡を円滑化する「TraceTogether」の利用など、安全管理対策(Safe Management Measures: SMM)を遵守したことも、この協働の一例です。
 

GCA 2021は、コロナ禍での安全かつ革新的な参加体験を促進する新たな手段を模索・開拓する取り組み「Alliance for Action on Enabling Safe and Innovative Visitor Experiences」によって、考案された「ハイブリッドイベント」の試験イベントでした。この試験イベントは、感染リスクを最小限に抑えた極めて安全な方法で、通常の見本市の場で習慣化されている程度で、参加者が交流を図れるようにしたものです。参加者間の一番の交流方法となったのは、「Geo Suites」というシステムでした。「Geo Suite」ごとにミーティングポッドが2つあり、参加者はプライベートなビジネスミーティングを安全に行うことができました。ポッドにはアクリル樹脂が備え付けられており、両サイドにマイクを用意しています。
 

最近開催された「TravelRevive」から得た学びと知見を生かして、パンデミック後(2020年11月)、初めて大規模に直接開催されたコンファレンス&展示会「GCA 2021」は、知恵を絞ったソリューションの試験を行い、参加者の健康と安全を強化しただけでなく、コロナ禍での参加者のシームレスな体験を実現すべく、デジタルイネーブラーの試験運用も行いました。
 

シンガポール政府観光局の展示会・コンファレンス担当エグゼクティブディレクターを務めるアンドリュー・プアのコメントです。「安全性と信頼性が高く、革新的な世界屈指のMICEイベント開催地としてのシンガポールの地位を強固にするために、当局は引き続きMICE産業と連携し、支援してまいります。イベントの焦点はスマートシティにおけるデジタルイノベーションとサステナビリティであり、この新たな環境でシンガポールが模索している機会と一致しています。Geo Connect Asia 2021は、同年シンガポールで開催された初のハイブリッド見本市でもありました。すべての来場者と参加者の皆様の体験が安全で充実したであったことを願っています」

 


 

イベント形式に対し、イノベーションを行い、デジタルイネーブラーを用いた安全な交流を円滑化することによって、「Geo Connect Asia」などのイベントを通じて、従来の貿易展示会を再考することが可能になりました。

 

 


 

  • 「Geo Suites」やミーティングポッドは、出展者、スピーカー、参加者が対面して行う商談やナレッジトランスファーを促進しました。
  • 参加者の安全性強化のために、地理空間技術および体温追跡技術を活用するデジタルイネーブラーが展開されました。
  • ホール間の移動の追跡と安全管理対策の遵守を支援するために、屋内位置技術が使用されました。
  • 事前に手配済みのミーティングが行われるミーティングポッドでは、アクリル樹脂で出展者とバイヤーを仕切り、話を聞き取りやすいように両サイドにマイクも設置しています。
  • 大きなポッド(2倍サイズ)は、各社担当者2名ずつの4人用で、実りある話し合いを進められるようになっています。

 


 

Geo Connect Asiaが試みた「セーフ・イベント・プラットフォーム」では、テクノロジーソリューションによって、イベント活動に対するモニタリング機能を向上させました。

 

 

 

 

  • また、この「セーフ・イベント・プラットフォーム」は、シンガポール・アソシエーション・オブ・コンベンション・アンド・エキシビション・オーガナイザー・アンド・サプライヤー(Singapore Association of Convention and Exhibition Organisers and Suppliers: SACEOS)による、IMDAの「オープン・イノベーション・プラットフォーム」で始まる「安全なイベント」への取り組みにおいて、その裏付けとなりました。
  • 「セーフ・イベント・プラットフォーム」により、MICE関連企業は、人間が行う作業に対し、必要以上に大きく依存することなく、イベントを安全かつ効果的に運営することができるようになります。
  • このプラットフォームは、シンガポール政府観光局が定めた安全管理対策(SMM)を遵守したMICEイベントの再開に対し、一助となっており、MICE企業が人々の安全も損なうことなくイベント活動を追跡、監視、運営、レビューすることができるようにしています。
     

「セーフ・イベント・プラットフォーム」の構成要素は、以下の3つです。

  • セーフ・イベント・アプリ(参加者用)
  • セーフ・イベント・プラットフォーム(イベント主催者用)
  • セーフ・イベント・プラットフォーム(施設オーナー用)
  • Bluetooth技術を採用する「セーフ・イベント・プラットフォーム」は、ユーザーのデバイスを介して参加者全員のレポートを受信することができます。デバイスは、データをダッシュボードに送信する媒体としての役割を果たし、ダッシュボードでは、イベント主催者が参会、追跡分析、接触歴などに関わる機能にアクセスすることができます。
  • 参加者が立ち入りを認められていないゾーンに入った場合、参加者とイベント主催者に対するアラートが作動します。
  • 濃厚接触のあった参加者同士も記録されます。

 


 

セーフ・ビジネス・イベント・フレームワーク

シンガポール政府観光局は、厳格な安全管理対策に基づいて、ビジネスイベント向けのリスク管理フレームワークを策定しました。シンガポールでは現在までに50件を超えるMICEイベントが「セーフ・ビジネス・イベント・フレームワーク」に基づくトライアルを行い、6,000人を超える国内外参加者が関与しています。これまで、これらのイベントに起因する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者は一人も記録されていません。
 

このフレームワークは、標準化された安全なB2Bイベントの再開に対し、シンガポール政府観光局による準備の一環として、業界との相談を重ね、世界中のベストプラクティスに合わせて開発したものです。また、シンガポールのMICEセクターの企業は、2020年上半期を通しての反省と教訓をベースに、安全なイベントのあり方をコンセプト化、再考しています。


シンガポール政府観光局のセーフ・イベント・プラットフォームの下でイベント主催者(EO)が達成する必要がある主要な成果は、以下の5つです。

  1. イベント参加者の行程の各段階における感染制御対策(イベント前後)
  2. 群衆密度の抑制
  3. 個人間の濃厚接触の抑制
  4. 安全で清潔な環境の確保
  5. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連する緊急事態への備え
     

シンガポールで開催されるイベントに関して、健康と安全は常に最優先事項です。厳格な安全管理基準と衛生基準が遵守されます。これにはイベント中、終始にわたる、群衆密度やグループ規模の管理、安全な距離の確保を確実に遵守する革新的な方法、イベント前参加者に対する抗原検査の実施などがあります。こうした対策を実施することにより、参加者は安心してイベントに参加することができます。

 


 

こちらの記事は、当初「Exhibition World」で発表されたものです。

 

イベントに関わる主要データ

モンゴメリー・アジアは、英国を拠点とするモンゴメリー・グループの子会社です。東南アジアに的を絞って、ここシンガポールで初の地理空間・位置情報に関するイベントを開催しました。

初の試み

「セーフ・イベント・ツール」

2,200

直接参加者&オンライン参加者