概要
アジアに息づくデザインの未来
アジアのデザインの首都としての資質を確固たるものとし、ユネスコ・デザイン創造都市という立場に一層磨きをかけるシンガポール。
市場の潜在能力はとどまるところを知らず、地域人材プールが充実していることから、国際的なデザインシーンが成熟しきった西洋から離れ、新興しつつある東洋に移ってきました。
こうした新しい勢いのおかげで、国際デザインハウスにとってのアジアの玄関口としても、アジア人新人デザイナーが国際市場を目指す登竜門としても、シンガポールは一層目立つ存在になっています。

市場と消費者の洗練
建築、インテリア、ファッション、小売など、シンガポールの洗練された消費者基盤では、世界一流のデザインに対する需要が高く維持されています。2015年からユネスコ・デザイン創造都市となっているシンガポールは、地域産業発展の先頭に立つ主要デザイン拠点となりつつあります。グローバルブランドが、繁栄する都市国家シンガポール伝いに好況なアジア太平洋地域市場に参入しているためです。
多国籍企業は、シンガポールをアート、文化、ビジネス、技術のまたとない合流点と見なして、その地に新しいデザインセンターを設立し、アジア市場向けの製品を作ることによって対応しています。プロクター・アンド・ギャンブル、エレクトロラックス、ポルシェデザイン・スタジオ、タッパーウェア・ブランズなども、そうした多国籍企業です。
受賞歴を誇る国際的な建築家が、新しい建築プロジェクトのコラボレーションや開発のためにシンガポールを訪れています。トーマス・ヘザウィックによる「ラーニング・ハブ」、オーレ・シェーレンによる「インターレース」と「DUO」、近く完成するモシェ・サフディによる「ジュエル・チャンギ・エアポート・プロジェクト」などはその例で、モシェ・サフディは、シンガポールの顔たるマリーナベイ・サンズ®総合リゾートも手がけています。

優秀なデザイナーのネットワーク
シンガポール出身のデザイナーは非常に高い評価を得ており、世界で絶賛されています。2008年から2012年までの間に、150を超える数々の国際的な賞を獲得しました。「シンガポールグッドデザインマーク」(SGマーク)、「プレジデンツデザインアワード」は、優れたデザインを表彰し、支援する国内イニシアチブです。
シンガポールのデザインイベントカレンダーが直ぐに埋まるのも当然のこと。世界に名だたるイベントがシンガポールで開催され、ファッション、建築、インテリアデザインブランドのためにほかに類例のないプラットフォームを提供して、アジアや世界の主要バイヤーに自社製品を紹介できるようにしています。
この成長産業のサポートに専念しているシンガポール・デザイン庁は、「デザイン・マスタープラン」を発足し、シンガポールを高価値で好況なイノベーション主導経済に転換させるために、2025年までにすべてのシンガポール国民のスキルセットにデザインを加えることを目指すものです。
デザインビジネスイベント:成長の機会

ビジネスイベントの最新展望
今日、シンガポールでは、デザイン関連の各種業界にまたがるソートリーダーの貿易コンファレンスやソリューション主導の貿易展示会が定期的に開催されています。3月に開催されたシンガポールデザインウィークはアジアのデザインの才能がある人材のためのきっかけを作る場です。「International Furniture Fair Singapore」、「Innovation by Design Conference」、「SingaPlural」といったイベントや「シンガポールグッドデザインマーク」、「シンガポールデザインアワーズ」などの表彰プログラムが併催されます。9月には「Archifest」が建築と構築環境の表彰を行い、国内外の建築設計に関する意見交換や演習、研修の便宜を図ります。10月に開催されるシンガポール・ファッションウィークは、地域やシンガポール出身の既存・新興のデザイナーとブランドに加えて、世界中に知られている超有名海外デザイナーにも注目する、世界唯一のファッションウィークです。

機会
デザイン産業のさまざまな業種でニーズが進化していることを鑑みて、デザイン思考、建築、ファッション業界への技術応用という各分野のビジネスイベントの需要が高まっています。今日のアイデア主導経済においては、産業を問わず、新しい価値を創出するためにデザイン思考を応用することが増えています。したがって、ビジネスとライフスタイルの全範囲にわたるデザイン思考のコンファレンスには、熱心な来場者が集まることが予想できます。また、近年、市場の需要増に応えて、海外の建築事務所がアジアにアトリエを構えたことも確認されています。いくつかのプロジェクトはすでに海外の賞や表彰を受けており、ソートリーダーシップ型の建築に関する対話や貿易コンファレンスの理想的な背景を形成しています。ファッション業界に関しては、技術の進歩や競争の厳しい小売業環境が消費者の行動を左右する重要な要素になりつつあります。業界のイノベーションを後押しする、ファッションや技術に的を絞ったイベントも、デザイン業界にことさら関係があるのはそういうわけなのです。
ご存知でしたか?
- アジア太平洋地域の家具・床仕上げ材市場の2018年までの収益予想はUS$2668億です1。
- アジア太平洋地域の高級家具市場は、2020年までにUS$54億に到達し、2015年から2020年までの間に年平均成長率(CAGR)6.2%を記録する見込みです2。
- シンガポール・デザイン庁は、2015年にシンガポールの経済にデザインが与えた影響を$ 343億と評価しました3。
1http://www.prnewswire.com/news-releases/furniture-and-floor-coverings-retailing-market-2018-forecasts-and-analysis-for-europe-emea--apac-292668371.html
2http://www.prnewswire.com/news-releases/luxury-furniture-market-in-asia-pacific-would-reach-54-billion-by-2020-projects-apacmarketcom-505821101.html
3http://www.straitstimes.com/singapore/promoting-competitiveness-through-design