シンガポールで活躍するセレブリティ・シェフのレストランをめぐるのは、胸躍る体験――天才料理人のエピソードをたっぷり聞けば、料理の味に感激せずにはいられません。

レストランを選び放題選べるシンガポールは、セレブリティ・シェフのレストランをめぐるにはうってつけの街です。さあ、一流レストランで記憶に残る料理を味わうひとときが始まります。お腹を空かせて、準備万端整えましょう。


ジョエル・ロブション・レストラン
撮影者 Danny Santos

フレンチレストラン「ジョエル・ロブション」のシェフ ジョエル・ロブション氏が、フランスの一流レストランガイド『ゴー・ミヨ』から「 世紀のシェフ 」の称号を得たのは、1989年のことでした。現在、パリや東京など、世界各地に店舗を所有しています。さらに、ミシュランの星の獲得総数は28個と、向かうところ敵なしの存在です。

 リゾート・ワールド・セントーサのホテル・マイケルにあるロブション氏のレストランでは、黒トリュフ添えクルマエビのラビオリ、グリーンサボイキャベツの蒸し煮、シャトーブリアンステーキ、フォアグラ(アヒルやカモの脂の乗った肝臓)の煮詰めたポルト酒ソースがけといった、絶妙のフランス料理を提供しています。 また、肉を使わない画期的な創作料理や、キャビアや和牛のような高級食材を特色とするシェフ特製メニューベジタリアンメニューもあります。


レストラン・アンドレ
撮影者 Restaurant Andre

権威ある「世界のベストレストラン50」のリストの上位に何度もランクしている「レストラン・アンドレ」は、座席数30というこじんまりとした空間で、フレンチヌーベルキュイジーヌを再解釈した料理を提供しています。

「オクタフィロソフィ」と呼ばれる常時変わるメニューには、台湾生まれのアンドレ・チャンが考案した興味深いコンセプトを採用。このコンセプトは、「個性」、「純粋」、「記憶」、「塩」、「南」、「職人」、「テロワール」という8つのテーマに分けられています。たとえば、「職人」というテーマでは台湾産ベビービーコーンのグリル、「記憶」ではフォアグラジェリーのブラックトリュフクーリ添え(野菜や果物のピューレを裏ごしした濃厚なソース)が登場することもあります。 どの料理も、それぞれのエピソードや意味を抱く、お皿の上の芸術です。


ワクギン

「2015年アジア・ダイナースクラブ®ライフタイム・アチーブメント・アワード」を受賞した日本生まれでオーストラリア在住のシェフ、和久田哲也氏は、間違いなく、料理界で絶大な影響力をもつと目されている人物です。

世界に名だたる和久田氏のレストラン「ワクギン」での食事は、ほかに類を見ない体験です。ウニを添えたボタンエビのマリネなど、極上の日本酒を飲みながら食べる話題の名物料理に、乞うご期待。

メインコースの後は別室に移り、息をのむようなシンガポールのスカイラインを眺めながら、デザートとコーヒーを楽しめます。一晩の締めくくりとしては最高ですね。


カット・バイ・ウォルフガング・パック

オーストラリア生まれのアメリカ人、レストランオーナー兼セレブリティ・シェフのウォルフギャング・パック氏は、レストラン、ケータリングサービス、料理などでいつも忙しくしています。シンガポールの顔たる マリーナ・ベイ・サンズにある同氏のステーキハウス「カット」は、ステーキ通を満足させる贅沢なカットと選りすぐりの品揃えで知られています。

オーストラリア産アンガス牛、U.S.D.A.プライム、ニューヨークサーロインなど、種類豊富。人気は、A5等級兵庫県産神戸牛です。

同店は手作りの極上カクテルでも知られています。ウィスキーベース(サプランスーチョン風味のシングルモルト、ドランブイ、マラスカチェリー)のスモーク&ミラーズが特に有名です。


ブレッド・ストリート・キッチン

ブレッド・ストリート・キッチン」を支える天才シェフを紹介する必要はありませんね。このカジュアルダイニングのオーナーは、レストラン経営者であり、シェフであり、世界に名だたるTV番組パーソナリティも務める ゴードン・ラムゼイ氏です。

フィッシュ&チップスやラム煮込み入りシェパーズパイといった伝統料理の他に、タマリンドスパイスチキンウィングや、チリ、ガーリック、ごま油を使ったスパイシーなツナタルタル、揚げワンタンなど、地域性に触発された料理もあります。


キャンドルナッツ

シンガポール人で初めて「ミーレガイド」(アジアの一流レストランを網羅した独立系年刊レストランガイドブック)の奨学金を獲得したシェフのマルコム・リー氏は、屈指の料理学校「アットサンライス・グローバルシェフ・アカデミー」で料理の腕を磨きました。

リー氏がオープンした「キャンドルナッツ」は、本格的なニョニャ料理を食べられるモダンプラナカン(海峡華人)料理レストランです。

この洗練されたレストランでは、サテー(串刺し肉のグリル)の自家製ピーナッツソース添え、乾燥エビで作るサンバル(アジアのチリペースト)を添えたタイの切り身炭火焼き、塩キャラメルと温かいチョコレートエスプーマ添えたブアクルア(インドネシア産黒ナッツ)のアイスクリームといったハイライトメニューを特色としています。


レストラン・ラビリンス
撮影者 Restaurant Labyrinth

厨房での実験や分子ガストロノミーが大好きですって? 優秀なシェフオーナー(念のために言うと、独学です)のハン・リ・ガン氏が経営する、受賞歴を誇る「 レストラン・ラビリンス 」の魅力は、シンガポールの食文化を体現する個性的なフュージョン料理です。  バクチョーミー (北海道産ホタテ、イカ、乾燥アンチョビを使って作る挽肉入り汁なし麺)や、ソフトシェルクラブをトッピングしたチリクラブアイスクリームなどの斬新な料理は、まさに最高のモダンシンガポール料理です。


コーナー・ハウス

ガストロ-ボタニカ――麗しの「コーナー・ハウス」の常駐シェフ、ジェイソン・タン氏が考案した斬新極まるコンテンポラリー料理です。この店は、シンガポール国内の上流階級向け出版物『ザ・ピーク』誌による2015年レストランアワーズで「ベスト・ニュー・レストラン」賞を獲得しています。

興味をそそる料理コンセプトは、根、蔓、ハーブといった植物に注目しています。これにより、脇役にされがちな材料の良さを主なタンパク源や他の食品群(もちろんコーナー・ハウスでも供されます)と同じように味わえます。

イカとイベリコ豚のチョリソ、ハリッサ、フェンネル、イエローマスタードシードを組み合わせた創作料理や、デザートの マイカヤ(ココナッツジャム)トースト を、ぜひ味わってみてください。このデザートは、パンダン、ココナッツ、グラ・メラカ(ヤシ糖)、マスコバドサブレ、パイナップルを材料にしたシンガポールの人気朝食アイテムをシェフのジェイソン氏が再解釈した一品です。


オデット

2015年に、多数の受賞歴を誇る有名ファインダイニングレストラン「ジャーン」を去ったフランス人シェフのジュリアン・ロワイエ氏。その目的は、ザ・ロー・アンド・ビーホールド・グループ(ザ・ホワイトラビット、オーバーイージー、ザ・ブラックスワンを運営)とともに、独自の事業を始めるためでした。

ロワイエ氏の祖母の名前にちなんだ「オデット」は、食に関する同氏の理念の表れです。ピュアな食材、最高級の旬の野菜や果物を使い、上品な盛り付けで理想的な創作料理をつくり上げています。55分燻製にした有機卵(「ジャーン」でのロワイエ氏の看板料理の1つのアレンジ)や、味噌漬け黒豚にマスをのせた一品などは、その例です。

シンガポール中の人気天才料理人を追いかけて、ここでしか楽しめないフード・トレイルを楽しみましょう。でも、彼らに実際に会えるかは約束できませんよ。